「ライギョ」が選定種に!? でも「ライギョ」だけではない text by 新家 邦紹
2005年6月から施行される「特定外来生物被害防止法」に、カムルチーとタイワンドジョウ(ライヒー)がリストアップされたことを私が知ったのは、遅ればせながら2004年12月、雑誌原稿類の締切り直後のことであった。
同時に知ったのは、オオクチバス(ラージマウスバス)が「委員会」を離れ、別の「小委員会」で扱われることになった、という話であった。
また、同時にバス擁護派は「オオクチバスだけは回避するので、それ以外の魚種は騒がず容認せよ」という取り引きを持ち出している、という話も聞こえてきた。
その時、私の頭に浮かんだのは「スケープゴート(scapegoat)」という言葉だった。「スケープゴート」とは「贖罪のヤギ、生贄、身代り、犠牲者」を意味する。
オオクチバスにかんしては、2005年1月19日に会合があり、議論されることになっている。
さらに、2005年1月21日には「特定外来生物等分類群専門家グループ会合」の第2回目魚類グループが開催される。議題は特定外来生物等(魚類)の選定について」である。
この「特定外来生物被害防止法」の選定の基準は「明治以降に移入された種で、生態系を著しく破壊するもの、またはその危険があるもの、農作物や漁業に悪影響を及ぼすもの、人体や生命に危険を及ぼすもの」等である。
魚類にかんして言えば、選定された場合は「釣って飼育すること、移動、輸入、売買」などを禁止され、何らかの「被害」報告がなされた場合には「防除」の対象とされる。
防除の「防」の字は、封じ込めなどにより拡大を「防ぐ策」に相当する。一方「除」の字は「駆除」に相当すると考えてもらってもいいだろう。
ただし、この法律自体は釣りを禁止するものではないし、選定されたからといって、即駆除!というわけではない。
だから、選定された種がそこにいて、それを釣っても、その場でその水に返せば、咎められることはない、という解釈が成立するはずだ。
現在、選定作業が必要な魚種は「案」として、カムルチー、タイワンドジョウ以外にコクチバス(スモールマウスバス)、ブルーギル、ノーザンパイク、チャネルキャットフィッシュ、ヨーロッパオオナマズが挙げられている。
カムルチーとタイワンドジョウ以外にかんしても当然言及したいことはあるが、この場では一般に「ライギョ」と呼ばれる上記2種にかんする話をしよう。
ライギョ釣りを愛好している人なら、カムルチーやタイワンドジョウが上記の選定基準に当てはまらないことは「実地で見聞」し、百も承知だと思う。
バス釣りを愛好している人であっても、その他のルアー以外の釣り人であっても、水産関係の人であっても、「自然や生態系に対する公平な目」を持っている人なら、それは周知のことであると思う。
私の見解を述べる前に、カムルチーとタイワンドジョウが「選定作業が必要な魚種」 としてリストアップされた理由などを見よう。
抜粋であるが明らかに入力ミスと思われるもの以外の字句は原文のままで写しておく。
カムルチーがリストアップされた理由
主な参考文献
1.Fish and Wildlife Service (2002) Injurious wildlife species:snakeheads(family Channidae). U.S.Environmental Protection Agency, Federal Register Environmental Documents, Vol.67, No.193
2.FishBase http://www.fishbase.org
3.金井慶幸・関口芳弘(1980)卒論「魚食性外来魚の社会的評価について」.フィッシング6月号・7月号
4.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編・監)(2002)山渓カラー名鑑日本の淡水魚(改訂版)山と渓谷社.719pp
5.日本生態学会(編)村上興正・鷲谷いずみ(監)(2002)外来種ハンドブック. 地人書簡.390pp
6.滋賀県立琵琶湖博物館 http://www.lbm.go.jp/index.html
7.U.S.Fish and Wildlife Service(2002) Invasive Species Program. Snakehead – The Newest Aquatic Invader(USGS Florida Caribbean Science Center/USFWS Fact Sheet July 2002)
タイワンドジョウがリストアップされた理由
主な参考文献
1.Courtenay Jr.,W.R.&J.D.Williams(2004)Snakeheads(Pisces, Channidae)- A biological synopsis and risk assessment. U.S.Geological SurveyCircular 1251
2.FishBase http://www.fishbase.org
3.金井慶幸・関口芳弘(1980)卒論「魚食性外来魚の社会的評価について」.フィッシング6月号・7月号
4.川那部浩哉・水野信彦・細谷和海(編・監)(2002)山渓カラー名鑑日本の淡水魚(改訂版)山と渓谷社.719pp
カムルチーとタイワンドジョウが「選定作業が必要な魚種」としてリストアップされた「理由」「被害の実態」「被害をもたらしている要因」そして「主な参考文献」は上記である。
これら2種を「本当に知っている人」が読むと、「!?!?」となる箇所もあったと思う。
ではこのあたりから、私の実体験としての日本のカムルチーとタイワンドジョウが「特定外来生物被害防止法」の選定基準に当てはまるかどうかを見ていこう。
まずは「生態系を著しく破壊するもの、またはその危険があるもの」という項目で考察してみよう。
カムルチーやタイワンドジョウの生息する場所の多くでは、在来種が多く見られる。「彼らのせい」で在来種であるメダカ(Oryzias latipes)やモツゴ、タモロコやヤリタナゴや
ニッポンバラタナゴ、キンブナやギンブナなどが減少した例など、見たことも聞いたこともない。
それは両生類にかんしても言えることだ。
トノサマガエルやダルマガエル、ヌマガエルやツチガエルなど、水中や水辺にいることが多いアカガエル科の種にしても、サンショウウオ科の小型種やニホンイモリにしても、カムルチーとタイワンドジョウのせいで激減したものなど存在しないだろう。甲殻類や水生昆虫にかんしても同様だ。
もちろん、それらの種を食うことはある。しかし、生態系を「著しく破壊する」などありえないことなのだ。
「著しく」どころか、「破壊」という言葉に値することすら、彼らにはできないだろう。ただでさえ日本国内では減少しつつある種なのだ。
肉食魚として、生きている他の魚や両生類、爬虫類を食うことを「破壊」と呼ぶ人がいるとするなら、それは奇妙な感傷に端を発する誤解である。
肉食魚は生きるためには、生きている他種を食わなければならない。度を過ぎれば「食害」や「破壊」と呼ぶことも可能だが、カムルチーやタイワンドジョウにかんしては、それを「破壊」などと呼ぶには、いくら誇張しても不可能であることは、彼らの生息している湖沼や河川の「生態系そのもの」が証明している。古くから彼らが定着した場所では、すでに80年以上にわたり安定を維持している例も多い。
次に「農作物や漁業に悪影響を及ぼすもの」。
肉食魚なので、商品として栽培されているヒシやハス、クワイなどを食うことはありえない。漁業にかんしても、上記の在来種との共生を考慮してもらえば、理解に難くないはずだ。
そして「人体や生命に危険を及ぼすもの」。
日本国内のカムルチーやタイワンドジョウを生食して、有棘顎口虫に感染した例も、昭和40年代以降見られなくなっている。この話は寄生虫学者として有名な藤田紘一郎教授が著書『笑うカイチュウ』の中でも触れている。
最も濃厚な有棘顎口虫の分布地であった佐賀地方で、この寄生虫を調べた九州大学の教授によると、100匹近いカムルチーを検索しても、1個体の有棘顎口虫も発見できなかったという。有棘顎口虫の生活環が途切れたことを示唆するものだ。
仮に感染したとしても、それは淡水魚の生食自体に問題がある。「ライギョ」に限らず、淡水魚の生食には寄生虫症感染の危険があるのだ。
代表的なものは肺や肝臓への吸虫類である。アユの生食が行なわれる地域では横川吸虫の感染例も多いようだ。
予防は単純である。淡水魚を食う場合には十分火を通してから、というだけのことだ。「人体や生命に危険」というのは、こういう意味の危険のことではないだろうが、「ああ言えば、こう言う」式のツツキが入った場合の予防線として、念のためこれに記しておく。
産卵保護床で卵や稚魚を守っている親魚は、侵入者に対して迎撃することもある。
自分より侵入者が大きい場合は引き下がることが多いし、当然のことながら「人体や生命に危険を及ぼす」ほどのものではない。
「お前はライギョが好きだから、そうやって弁護するだけだ」と言う人もいるかもしれない。
たしかに私は「ライギョ」と呼ばれる魚族が好きである。しかし、偏愛はしていない。何故なら私は「ライギョ愛好者」である以前に「自然観察者」であり「自然愛好者」であるからだ。
この事実は、私と行動をともにしたことがある人なら理解できるはずだ。
私は「ライギョおたく」ではなく、池や流入する溝の生物、周囲の水辺林における生態系まで視野に入れて、本来の釣りを忘れかけることもしばしば、であることは、取材に同行した経験のある雑誌記者や、周囲の知人その他が証明してくれるはずだ。
また、机上の空論ではなく、屋外での自分の誇張しない見聞を大事にする。その姿勢も彼らが証明してくれるはずだ。
どんな学者(まさかバス擁護派?)がカムルチーとタイワンドジョウを選定に入れたのかは知らないが、これらの種族にかんしては、私のような在野の釣り人兼観察者のほうが、はるかに真実を知っているはずだ。
フィールドワークなしでは本来の習性はわからない。しかし、聞くところでは選定委員には釣り人はひとりも入っていない。そして当然、私は「ライギョ」について質問されたことなど一度もない。
私は「特定外来生物被害防止法」にかんする声が上がるずっと以前から、カムルチーやタイワンドジョウと在来種との共生を目にしてきたし、それにかんする話をしてきた。
カムルチーやタイワンドジョウと在来種との共存にかんしては、2002年9月30日に発行された日本生態学会編の『外来種ハンドブック』にも、あくまでも証言例としてだが、記載されている。
何でもかんでも、外来種を完全悪に仕立てたがる傾向が強い中、公平な意見が出ているものだな、と当時少しだけほっとしたものだ。
しかし、この本、カムルチーにかんしては前出の「被害の実態(代表的な事例)生態系に係る被害」の中で「●大型になる上位捕食者で魚類や甲殻類などを補食する。(文献1,2,5,7)」の「文献5」としてしか扱われていない。
たしかにカムルチーやタイワンドジョウの生息水域でも、在来種が減少した場所はある。しかし、それを食害とするのは、いささか早計である。
私が見てきたそのような水域では、水生植物にも影響が出るほどの水質変化(悪化と言ってもよいレベル)が著しかった。
溶存酸素に依存する一般の魚には致命的であろう。しかし、カムルチーやタイワンドジョウは、空気中の酸素を直接呼吸することが可能なのだ。
呼吸器官自体が異なるのである。水域を制覇したわけでも独占したわけでもない。その構造の違いにより、何とか「生き延びた」のだ。
これら2種の「ライギョ」について、その外見的特徴を快く思わない人や、空気中でも他の魚たちより長く生きていられる(あくまでも他魚種よりは長く、という意味。そのまま放置されれば当然生きてはいられない)呼吸器構造を気味悪がるあまり、実際にはありえない虚偽を述べたてる人もいる。
「炎天下に放置しても3日間生きていた。近づいたら噛みつきにきた」
「自分の体より大きなコイを食べた」
など。
前者は論外なのでそれこそ放置しておく。一方後者も絶対にありえない。何故なら彼らは噛みちぎるための歯や顎を持っていないからである。
彼らの歯は、獲物を逃さないためだけに進化したものだ。捕食が下手だから、一度でも口にした獲物は逃さないように進化した、僅かなカーブを持つ紡錘形の歯である。
肉食哺乳類のように前足で獲物を押さえることができない魚族が、肉を噛みちぎるにはメジロザメ目やピラーニャのような形状の歯が必要だ。つまるところ彼らは丸呑みスタイルだから、自分より大きな魚を食うことは、身体構造上できない。
カムルチーにおける「被害をもたらしている要因 生物学的要因」には「体長(尾ビレは含まない)の1/3程度の大きなものでも捕食できる」とあるが、口が体に対してきわめて大きい幼魚期を過ぎると、大きなものを無理して捕食する傾向は、急速に減退していく。
彼らを「獰猛」「貪食」と表現する向きが未だにあるが、それは事実を知らない人の誇張にすぎない。
ある漫画で一躍そのイメージを背負わされた感がある。作者の方には下のように言わせていただきたい。「あなたはそれを描いた時点では、あまりに『ライギョ』について無知すぎた」と。
そこに描かれている行動様式も「ライギョ」本来のものとは異なる。こんな話をしたのは、彼らの身体的特徴を「ヘビみたいで気持ち悪い」と嫌悪する人が多いという事実、迷信や俗信により真実が見えなくなっている事実を踏まえた上で、まずは「あらぬ疑いを晴らそう」という主旨に他ならない。
ここまで読んでいただけたら、カムルチーやタイワンドジョウは 「あえて選定する必要はない魚種」であることは、ライギョ釣りをしない人でも理解していただけると思う。
日本国内の個体数も少なく、しかも多くの生息域では減少の途にある。その魚種を最悪の場合「我々の税金を使った駆除の対象」にまでなる可能性がある種として、選定する必要が本当にあるのだろうか?
この「特定外来生物被害防止法」にかんしては、環境省宛のパブリックコメントの機会がある。
1月15日現在、聞き及んでいるところでは、期間は2月上旬~3月の約1カ月間とされているようだ。
環境省のホームページで随時更新されている。ライギョ釣り愛好者だけではなく、その他の釣りを愛好しておられる方でも、自然観察者でも自然愛好者でもいい。「特定外来生物被害防止法」の選定内容にかんして「何かヘンだな」「納得いかないな」と思われる方は、パブリックコメントを是非とも寄せていただきたい。
それで選定から外れるのかどうかは正直わからない。しかし、事実と異なる内容で、彼らが最悪の場合「我々の税金を使った駆除の対象」となるのを、何もせずに放っておくことはできない。
人間として良心があれば、冤罪を見逃すなんてできないだろう。ちなみにパブリックコメントと聞けば「難しそうでイヤだな」と思う向きもあるかもしれない。
それは文字通り「公衆に求めるコメント」である。公衆である私たちは、この問題について思うところを「自分なりの表現」で発言すればいいのである。内容は短くても簡単でも悪かろうはずがない。
ただし、言うまでもないことだが、感情に左右された過激な発言などは控えるべきである。ここではあくまでもカムルチーとタイワンドジョウにかんする話をしたが、 他の魚種にかんしても疑問はある。
現在選定されている魚種はこれら2種以外に、ブルーギル、コクチバス(スモールマウスバス)、ノーザンパイク、チャネルキャットフィッシュ、ヨーロッパオオナマズ。日本生態学会が危険度Aランクに分類したオオクチバスやニジマス、ブラウントラウト、タイリクバラタナゴ、ソウギョなどは含まれていない。
オオクチバスやニジマスは多くの人に「利用」され、同時に「産業」にもなっているかららしい。それでは本筋を外れていないか?
また、選定こそされていないが、「何故あんな小さくてきれいなタイリクバラタナゴが危険度Aランクなの?」といぶかしがる人もいるだろう。
それは在来種であるニッポンバラタナゴとの交雑が容易なため、純系喪失の危険があるからだ。生態系の破壊には「食」以外の問題もあることを、知っておいていただきたい。
魚以外も例示するとキリがないだろう。
あなたが生物や自然に対し「公平な目」を持つ人であれば、疑問も噴出するだろう。在来種であるクサガメやイシガメを駆逐し(?)そこらの池を占拠しているミシシッピアカミミガメは何故選定外なのか?とか。
これでは「法律」としての正当性は希薄ではないか?だからまずは「特定外来生物被害防止法」の現在の選定内容を把握することをお勧めする。
誤解のないようにさらに申しあげておくと、私は「ライギョだけでも選定から外せたら、それでいい」というスタンスではない。現在の選定内容に見られる、法律としての成立原則への違反にも「問題あり」と言ってるのだ。
カムルチーやタイワンドジョウのみならず、現在の選定内容には明治以降に移入された種で、生態系を著しく破壊するもの、またはその危険があるもの、農作物や漁業に悪影響を及ぼすもの、人体や生命に危険を及ぼすもの以外が含まれている。
いやな言い方をするが「ライギョ」にしか興味のない人は、この機会にもっと視野を広げてほしい。
追記
1月14日、カムルチーとタイワンドジョウにかんする件で、東京で会合を行なった際に、「特定外来生物被害防止法」の特にオオクチバスにかんして詳しい方から、
「明治以降に移入された種で、生態系を著しく破壊するもの、またはその危険があるもの、農作物や漁業に悪影響を及ぼすもの、人体や生命に危険を及ぼすもの」
という選定基準は完全に明文化されたもので、変更の余地はないものと聞いた。
それなら環境省や選定委員の方々は、下記の事実をどのように受け止めるだろう?
カムルチーかタイワンドジョウかは私は調べきってはいないが、いわゆる「ライギョの生体」が明治以前に日本へ渡来した記録が残っている。
以下は平凡社発行、荒俣宏著の『世界大博物図鑑2魚類』からの引用である。
(前略)文化1年(1804)には、生きたライギョが大小とりまぜて十数尾渡来した。
大きいもので長さ1尺、小さいもので数寸、形は頭も尾も同じ大きさで、腹がとくに太いということもない。
体がぬるぬるしてギバチ(ギギ)のようだった、とある。
なお文化年間に、生きたライギョ(カムルチーと思われる)が舶来された話は、栗本丹洲『皇和魚譜』にも載っている。(後略)
また高木春山の図譜『本草図説』にも、その絵が残っている。
私はこの件に平成5年学習研究社発行の『ライギョ大全』でも触れている。その絵は前出の『世界大博物図鑑2魚類』233pで見ることができる。
そこではタイワンドジョウ(Channa maculata)とされているが、いかがなものか。
カムルチーもタイワンドジョウも外見はかなり似ているので、当時はっきり同定されたという保証はない、と思う。
また両種をひっくるめて「タイワン」もしくは「タイワンドジョウ」と呼ぶ地方も多いことなど、不確定要素もある。ただ、間違いないのは「明治以前に『ライギョ』の生体が日本に入っていた」という証拠が存在するということだ。
ちなみに高木春山とは江戸時代後期の本草学者で、下目黒郷長峰町に住居をかまえ、諸国の動植物を観察し『本草図説』に取り組むも、完成に至らぬまま1852年に亡くなった。
『本草図説』は植物と魚類が中心だが、哺乳類も収められている。この『本草図説』は全195冊が愛知県西尾市立岩瀬文庫に収められている。水産編20巻は孫の高木正年が明治16年の第2回水産博覧会に出品した記録が残っている。
こうして「特定外来生物被害防止法」の問題を見ていくと、行き着くのは日本人の身勝手さである。
ハブとネズミの天敵として沖縄本島、奄美大島に移入されたジャワマングースは増殖し、希少種トゲネズミやアマミノクロウサギをはじめとする在来の地上性生物を捕食し、減少あるいは絶滅させたという理由で駆除対象になっている。
在来種の保護は大切だが、一番の被害者は「人間によって勝手に運命を左右された」ジャワマングースだということを認識しなければ、また必ず過ちは起きる。
琵琶湖のオオクチバスの問題でも「他の生物を抑止力として」という懲りない浅はかな、とても学識者の発想とは思えない考えが出ていたのを、ご存知の方もいると思う。実施はされなかったようだが。
一方、ペット問題も見逃しにできないことが多い。
ここに発生源を持つものの代表はアライグマだが、ワカケホンセイインコもミシシッピアカミミガメもカミツキガメも外来クワガタも同様。輸入昆虫の寄生ダニ類も重大な問題である。
魚にかんしては「飼いきれなくなったから」「飽きたから」といって肉食性大型熱帯魚を、溜め池などに捨てる行為も耳にする。ペットや釣り業界に関係する人による、そういう行為もあるようだ。
「冬を越せないから大丈夫」なんか言い訳にすらならないし、面白がっているフシさえあるのはさらに問題だ。
この消費国家で生活する日本人、完全に麻痺してるのか?一度は愛情をかけた「命」ある生き物すらも消費対象なのか?
駆除となれば、その生物も消費対象である。
駆除で一儲けという人も、そのための虚偽報告も出てくるだろう。
それでいいのか?